文:桂知秋(なりわいカンパニー)
写真:西川遥香(ケンミン食品)
目の前にある淡路島の新玉ねぎ。兵庫県民なら誰もが知っているであろうこの食材の良さをいかに引き出せるか、そして兵庫県のビーフンとしてどう完成させるか。「ほぼ毎日、ほぼ一日中、会社のキッチンに立っている」という開発担当の新田が、キッチンで新玉ねぎとひたすら向き合う、 ある一日の風景。
1) キッチンに立つときは青いコックコート。 2) ビーフンに素材の旨味を吸わせます。 3) なぜか玉ねぎを切っても全く目が痛くならない新田。 4) 無水調理の鍋でコトコト。 5) 「ほぼ毎日試食しているビーフン」なのに「家でも作りますよ」6) 淡路島の新玉ねぎ。 7) 玉ねぎの甘い香りがたちこめる。 8) 「新玉ねぎはいつもより分厚めにカット」 9) レストラン仕様のオーブンで蒸し中。 10) 自分で試食した後は、たくさんのメンバーにも試食してもらいます 11) 本社キッチン。ここで生まれた数々のレシピが商品に。 12) 火の通り具合も何度もチェック。 13) 分量や品種など細かくメモしているノート。
食材の種類は多い方がいい、という考えを覆す。
「通常の商品は、 いろんな具材が入っている方が価値がある、 というか、 お客さんがその方が嬉しいんじゃないかな、 というのがこれまでの商品の価値観みたいなところはあったけど、 このプロジェクトは別。ひとつの食材の魅力を引き出すには、いろんな食材が入ると味を邪魔するから、極カシンプルに。今回の場合だと、とことん玉ねぎに特化させたいんですよね。玉ねぎはうちの商品でもよく使う食材だけど、実は新玉ねぎをそこまで意識したことがなかったから、そこからスタ ートです」。
新玉ねぎと戯れる。
良さを引き出すにはまずは相手をよく知ること。と言わんばかりの新田、手際よく玉ねぎをさばいていく。 「うーん、まずはやっぱりスライスしてみようかなあ」と言いながら、並行して、蒸す、焼くなどの調理にも着手。いろんな姿の玉ねぎが姿を現した。
玉ねぎ vs 新玉ねぎの巻。
オッケー、淡路島新玉ねぎのポテンシャルの高さは十分伝わった。さあ、ここからが勝負。「これだけ存在感があるんだったら、さらにドカンといきたいなあ」。ということで、いつもの分量の4倍の玉ねぎでビーフンを作ってみることに。もちろん、比べられるように普通玉ねぎやビーフン味付き・味なしバージョン(※)も。
玉ねぎひとつ、変えただけなのに。
さて、 味に変化はあるのか、ないのか。いざ、試食。
「思った以上に違いがあってびっくり」と新田。「すごいっすね、玉ねぎひとつ変えただけなのに。それがビーフンの良さでもあるのかも。野菜とか具材の旨味とか甘みとか味を吸って、いろんな表情を出せるのがビーフンだから。そっかあ、 水分の多い新玉ねぎはビーフンに向いてるのかもしれないですね」。
「飽きるどころかハマってしまいました」。
後日、 あれからも新玉ねぎを研究しつづけているという新田に、正直飽きないですか?と恐る恐る聞くと 「いや、飽きるどころかハマってしまって」と予想外の返答が。「スーパーで見つける度に買って、家でも色々試してるんです(笑)」。 ちなみに今のお気に入りは「丸ごとアルミホイルで包んで魚焼きグリルで蒸し焼き」だそう。「まだまだ新玉ねぎの良さを引き出す方法を探りたいんですよね。今年の商品化までたどり着いたとしても、多分、次の年に向けてさらに探り続けるんじゃないかな」。