47都道府ケンミン・焼ビーフンプロジェクト

各地の食文化に触れる旅が、はじまった。

各地の食文化に触れる旅が、はじまった。

文:大森ちはる(なりわいカンパニー)
写真:西川遥香(ケンミン食品)

2020年の「千葉県民の日(6月15日)」に発売した47都道府ケンミンプロジェクト第1弾「千葉ケンミン焼ビーフン」。発売から丸1年を控えたある日、「千葉ケンミン焼ビーフン」をプロデュースしていただいた千葉テレビ『ナイツのHIT商品会議室』の録画を観ながら、高村と商品開発担当・新田が当時を振り返りました。

その地に育まれた食文化に出会うたのしさ

高村: このとき番組で提案したメニューが「千葉名産野菜のビーフン」「カツオ漬け丼風ビーフン」「びわソースの冷製サラダビーフン」の3種類だったんだけど、驚きで唸ったんですよ。2つの理由で。

新田: はい。

高村: ひとつは、千葉にしかない食文化に出会えたこと。カツオって、神戸ではほとんどタタキでしか食べれないでしょう。でも、千葉だと生でスーパーに並んでいて。とれたてで新鮮だから可能なんですよね。家庭でカツオをお刺身で食べる文化があるのかぁって、感じ入ってしまった。

新田: 僕もびっくりしました。だから、冷凍で発売する「47都道府ケンミンプロジェクト」としては商品化できないんですけど、どうしてもお刺身のカツオを使ったメニューにしたくて、漬け丼風ビーフンに。お蔵入りさせるのも惜しかったので、ホームページの米めんレシピのコーナーに載せさせていただきました。(→ 千葉県特産 カツオ漬け丼風ビーフン

高村: めんであるビーフンを「丼」に見立てるのもすごいよね。僕が唸ったふたつ目の理由はまさにそれで。3つのメニューが焼ビーフン、漬け丼風ビーフン、冷製ビーフンと三者三様で、どれもちゃんとおいしくて、新田さんやるなぁって。(笑)

新田: ちょうど別プロジェクトでご一緒していた『祇園さゝ木』の佐々木シェフが「ビーフンは米だ」とおっしゃったのが頭に残っていたんです。そうか、米か……米だ……丼だ! と。

高村: びわをドレッシングにしたあのメニューも、冷製ビーフンというのはこれまでもレシピ化したことあったけど、ビーフンにフルーツを合わせるのは初めてだったんじゃないですか?

新田: そうですね。千葉県ってびわの産地として全国2位らしいんですよ。梨の生産は全国1位だそうです。梨はシーズンが合わなくてこのときは見送ったのですが、せっかくそのご当地とコラボレーションできる「47都道府ケンミンプロジェクト」なので、アグレッシブにいきたいなと。これも冷凍商品向きのレシピではなかったので、米めんレシピでレシピ公開しています。(→ 手作りびわソースで♪冷製サラダビーフン

農産物には旬がある……「地産」の洗礼に奔走したあの日

高村: シーズンが合わないといえば、「千葉ケンミン焼ビーフン」は千葉県産野菜を100%使用しているけど、野菜の手配が大変だったんですよね。

新田: 奔走しました。夏場に向かう6月の発売だったので、房総半島の温暖な気候で育った夏野菜をふんだんに使おうというコンセプトだったのですが、一口に夏野菜といっても、今回使った赤ピーマン、ナス、ズッキーニ、それから味付けに使った根生姜は、それぞれ少しずつ収穫時期がずれているんですよ。例えば、根生姜の旬は3〜4月で、5月に入るとどんどん採れなくなってくる。対して、赤ピーマンは5月頃から旬を迎えはじめる。間に合うか間に合わないか、気を揉みましたね。野菜は日持ちしないので、製造はほんとうにわずかな期間でギュッと行いました。

高村: そんなにヒヤヒヤしていたとは、知らなかった。(笑)

新田 当たり前ですが、農産物には時季があるんだと、旬の存在を実感しました。スーパーに行けば年中野菜が並んでいるし、ふだんの商品開発でも食材すべての産地をここまでこだわることはないので。このプロジェクトが始まってから、日常の買い物でも野菜の産地を気にするようになりましたよ。

高村: 千葉・宮崎が終わって、いま兵庫に取り組んでいて。あとまだ40以上の都道府県が残っているけど、プロジェクトが進むにつれて、全国の特産品と旬に詳しくなっていけますね。

新田: そうだと思います。きっと毎度ヒヤヒヤするのだろうけど、その不安よりも出会えるたのしみの方が大きいです。

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